圓福寺日記

美声に名人なし(R5 5/14)

2023 年 5月 14日

 

こんにちは

 

左の写真は書院に掛けてある額で、

「(円相)一生受用す尽くさざること」

                          (大淵窟老大師ご揮毫)です。

 

稚拙な意訳を申しますと、

「禅の極意は一生を用いても尽きることはなく、

  ただ円相のように空っぽになりきっていくことだ」

といったところでしょうか。

 

能楽の世界の言葉に「美声に名人なし」という言葉があるそうです。

能楽は日本の伝統芸能で声がいいのは間違いなく財産です。

しかし、名人には美声の方はいないそうです。

 

もちろん一概には言えないと思いますが、

美声の方はスマートに生きようとするから、

壁にぶつかったときに逃げてしまう。

しかし、声の悪い方ほど、精進と努力を怠らず、

愚鈍に不器用に生きるられる。

「自分は何も持っていない、わかっていない」

という気概でただよく相続、継続することで、

名人に至るそうです。

 

まさに、円相のような空っぽな心でもって、

継続することが人生でも肝要ということだと思います。

わかっていてもなかなか、難しいものですが、

心にとどめておきたい言葉です。

 

合掌

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