圓福寺日記

篆刻印(てんこくいん)

篆刻印をいただきました

坐禅会に来られている方から、手作りの篆刻印(てんこくいん)をいただきました。

主に書画などの最後に作者のサインとして用いられるハンコを「篆刻印」というそうです。

写真の左が住職の「宗格」で、右が「宗耕」になります。

手作りのもので、字にも非常に味があり、うっとりと見とれてしまいます。

調べてみると大まかな工程は

紙に印影を書く → 平らな篆刻印用の石に写す → 専用の刀で掘る

 → 試しに捺印する → 必要ならば彫りなおす → 一度きれいな印影が完成

 → 縁や文字に傷をつける → やすりで擦る → 完成

となるようです。

ここで注目すべきは「縁や文字に傷をつける」という工程です。

一般的には「印に味、オリジナリティを出す」というように解釈されるようです。

なんでも完璧なものしか求めない現代の考えとは逆で、

完璧じゃないものを「楽しむ」という心のゆとりを持たせてもらえます。

しかし、これは見方によっては「完璧なものをあえて作らない、作者の謙虚さ」とも感じ取れました。

そのようにとれば、作者さんの心意気に平伏してしまいます。

篆刻印の印影一つに自分の心、作者の心を映しているようでした。

本当に味わい深いです。


左の写真は住職が以前から持っていた篆刻印です。

左がクジラの歯を使ったものです。

右が中国の「トンパ文字」が彫られているものです。

トンパ文字とは中国の少数民族で11世紀から現在まで使われている、

「生きた象形文字」といわれるものだそうです。

焼き鳥居酒屋の大手チェーン店の鳥のマークはトンパ文字なのだとか。

そのトンパ文字で書かれた「宗格」です。

これもまた、味わい深い。

参考元:https://www.hankoya.com/shop/tenkoku/

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