寺日記
初春の珍客
2009 年 01月 04日
寺務室でちょっとだけ仕事をしていたときのことでした。寺務室は庫裏の前庭の池に面していて、池越しに本堂前も見ることができますので、どなたがお参りに来られたとか、だいたいわかるような建物の配置になっています。
でも、寺務室にいるときは仕事中で、ずーっと外を見ているわけではありません。
今日、たまたま外に視線を送ると、池のほとりに大きなアオサギが舞い降りました。この街中でアオサギを見ることはまれですし、こんな小さな池を見つけるアオサギもたいしたものだと、しばしその行動を観察していました。
これこそ、抜き足差し足とでもいうような動きで、水際に近づいたサギは、なんの躊躇もなく水中にくちばしを突っ込むと、小ぶりな錦鯉をくわえてリズミカルに縦にくわえなおして一気飲み!あっという間もなく、鯉は長いのどを通って胃袋の中に!
あの鯉は一昨年この池で孵化した生粋の穴川っ子、ようやくあそこまで大きくなったのに・・・と思っても後の祭り。アオサギは悠然と大きな翼を広げて大師堂の屋根の上に行ってしまいました。
「朝日を浴びて、大師堂の屋根の上にたたずむアオサギ」なんて、いい絵になると思って、デジカメを持って本堂に走り、大師堂の屋根に向かってシャッター。その後アオサギは、本堂正面に舞い降りてうろついて、大きな岩の上に佇みました。大師堂の屋根の上にとまった姿や大岩の上の姿を見ていたら、水墨画に出てくるサギの姿を思い浮かべてしまいました。今度は大岩を降りて、庫裏に向かう石畳を我が物顔で歩き、池の方に戻っていきました。先ほどの錦鯉に味を占めたのか、また食べられては大変と思い、ついに追い払ってしまいました。
こうして、初春の珍客は帰っていきました。
1月4日


