寺日記

松の葉ジュース?

2020 年 04月 08日

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴い、幼稚園も5月連休まで休園となりました。

 予定では、今日が始業式で園庭に子どもたちの声が戻ってくるはずでしたが、急きょ休園になったので、しーんと静まり返っています。また、10日予定の入園式も延期になったので、しばらくは幼稚園から子どもたちのにぎやかな声が聞こえてきません。入園式後の新入園児の泣き声や、先生が声をからして子どもたちに声をかけるのも聞こえてこない異常な事態です。

 外出自粛で、うちに引きこもらなければなんていう人もいますが、お寺にはやることがたくさんあります。中峰和尚座右の銘にも、「常に苕箒(じょうしゅう)を携えて、堂舎の塵を掃え。」と言われていますので、内外の掃除をまず最初にと思い、庭の松のみどり摘みに取り掛かりました。

 剪定の途中で、山門をくぐってご婦人が「こんにちはーっ」と親しげに入ってきました。マスクをされているので、檀家の方かなあと思ったのですが、どうも通りかがりの人のようです。すると、私が剪定した松の葉っぱを見て、

「あー、こんなところにあった。」

「わたし、今日はついてるわ。」

 さてなんのことやらと思っていると、剪定した松の葉っぱをもらってもいいかというのです。どうせ捨てるものだからどうぞというと、おもむろに買い物バッグを広げて松の葉をかき集めはじめました。

「なにに使うんですか。」

と聞いたら、松の葉ジュースにして飲むのだそうです。これが体にいいのよ、膝が痛い人が歩けるようになったんですって、と教えてくれました。切ったばかりの松の新芽からは、松脂がでますから、私の手袋は松脂でべたべたです。そんな松脂もいっしょに飲むのかと思ったら、口の中がべたべたするような感じがしてしまいました。

 どうか、後で、「お寺の松の葉っぱを飲んだら具合が悪くなったのを、どうしてくれるんだ。」と言ってこないように願うばかりです。とはいえ、みどり摘みのあとの掃除が格段に楽になったので、感謝感謝でした。

(C) 2020 臨済宗妙心寺派 大廣山 圓福寺