圓福寺日記
正月風景点描
2021 年 01月 02日
新型コロナの影響でお参りを控えている方のために、お正月のお寺の様子を写真でご紹介いたします。




まずは屋外の様子です。
大晦日の午後に強風が収まったので、あわてて幕を張りました。改まった行事の時、雨や強風でない限り、山門と玄関に幕を張ることになっています。
掲示板の文言は、住職オリジナルです。

左は玄関の賀正だるまです。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、圓福寺歴代住職の象匏和尚が天保七年のお正月に書かれたものです。
右側から垂れているのは、「結び柳」という柳の枝です。中国長安から西に向かう人はこの地で送ってきてくれた友人家族と別れます。旅立っていく際、川辺の柳の枝先で丸い輪を作り旅人に手渡し、また無事逢えることを誓ったとされます。この故事から、お正月に訪れた人との再会を喜ぶ意味も込められているのだと思います。
また、柳は〝陽〟の木でその芽張りはやがて来る春を表し〝一陽来復(いちようらいふく)を祝う心を表す形として、床奥から座敷に向かって柳を垂らすのだそうです。
手水鉢のところの梅もつぼみを膨らませていて、寒いとはいえ初春、春は確実に近づいています。新型コロナの終息も早く近づくといいですね。

本堂内を正面から見たところです。
新春祈祷では、手前の香炉でお焼香していただき、お参りをします。
香炉台の金襴の打ち敷きは、塚本和子さんが縫ってくださいました。ちなみに金襴の布も塚本さんのご寄付です。

本尊様が隠れて見えませんが、ご祈祷の時には「十六善神」の掛け軸を掛けてお参りすることになっています。
手前に見えるたくさんの封筒には、般若札が入っており、三が日のご祈祷が終わってから檀家さんに発送するものです。
つまり、皆さんのお手元に届く般若札は、三日間のご祈祷を済ませたものということになります。

新型コロナの影響で、年越し参りの行事も控え、花園会の新年会も中止ということで、書院の座敷を使う予定もないのですが、お正月と言ったら賀正だるまを床の間に飾っておかないと落ち着きません。一間半の床の間に掛けるだるまさんの掛け軸がなかったのですが、正月早々の書画骨董店のカタログに、この掛け軸が出ていたので買い求めました。
正月支度を頑張った自分へのお年玉、と言い訳を考えつつ・・・。
この達磨さんは、大正13年に妙心寺派の管長になられた五葉愚渓(ごようぐけい)老師の画賛になるものです。
賛は「玉蕃吹き満たす鳳凰臺」とお読みするのでしょうか、間違っているかもしれません。蕃は竹かんむりに番だと思います。日本ではあまり使われない漢字のようですが、簱(はた)と同義語ではないでしょうか?意味は・・・、読み方が間違っていなければですが、玉とついているので、皇帝などの居場所を知らせる簱、幟のようなものか?それが風を受けて勢いよくはためいている鳳凰台。鳳凰臺は、鳳凰が遊んだと伝えられる山の名前らしいです。
これが達磨さんの賛となっているのですから、意訳すると、達磨さんのもとで禅の教えが幟がはためくように盛んになっていて、そこに鳳凰が遊びに来るように優秀な弟子たちが集まってきているというようなことかなあと、勝手に思うのですが・・・。