圓福寺日記

月遅れの花まつりを幼稚園児とともに行いました。

2021 年 05月 07日

 毎年、圓福寺の花まつりは、幼稚園の子どもたちが幼稚園に慣れた5月の連休明けにいたしております。

 本堂前の誕生仏の石像もこの日ばかりは「花御堂」をしつらえて、たくさんの花に囲まれます。このたくさんの花は、前日に子どもたちが持ってきてくれたものです。大切な花だからと、ぎゅっと握りしめて持ってくる子、小さな花束を大事に抱えてくる子など、前日からほほえましい光景が見られます。

 圓福寺の花まつりは、誕生仏の石像が外に祀られていますので、屋外で行います。それ以外の幼稚園の仏教行事は本堂で行いますが、入園したての年少児にとっては、いきなり慣れない本堂に入って驚いたり、中には怖がる子もいたりしますから、屋外でのほうが負担が少ないのかもしれません。慣れない年少の子どもたちが道路に飛び出したりしないように、年長の子どもたちが取り囲んで見守ってくれます。また、年中の子どもたちが一人ひとり年少の子どもたちの隣に座って、不安のないようにしてくれます。

 般若心経の読経中に、代表の年長児が、お焼香して、誕生仏に甘茶をかけてお参りし、ご回向が終わると園長のお話となります。

 おしゃかさまは生まれてすぐに七歩歩かれて、右手で空を指さし、左手で地を指さして、「天上天下唯我独尊」(てんじょうてんげゆうがどくそん)とおっしゃいました。みなさんが、あれとか、これとか、なにかを指さすとき、必ず指は人差し指一本だと思います。人差し指一本立てたら、「1」や「ひとつ」という意味になります。

 みなさんは幼稚園に入園したり、新しいクラスに進級したりして、友だちがたくさんできたと思います。でも、お友だちがたくさんできたといっても、目の前にいるお友だちは世界中探してもたった一人しかいません。同じお顔をして同じ名前をして、自分とお友だちになっているたった一人の人を大切にしましょうとお釈迦様は伝えたかったのだと思います。

 みなさんの中にはぬいぐるみが好きなお友だちもいると思います。赤ちゃんの時から、大好きなぬいぐるみがあって、寝る時も一緒に寝ている人もいるかもしれません。何年もだっこしたり、一緒に寝たりして、汚れたりぼろぼろになったので、おうちの人が新しいぬいぐるみを買ってあげるよと言いました。お店に行ったら同じぬいぐるみがたくさん売っているかもしれません。でも、1歳の誕生プレゼントにおばあちゃんに買ってもらったぬいぐるみは、世界中にたった一つしかないのです。

 そんな話から、一つしかない命、一度しかない人生、一人しかしない自分を大切にする人に育ってもらいたいと願っています。

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